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フォーラム福岡 2014年 vol.53 掲載

at 2014/2/08 12:19:16
2014年01月31日『フォーラム福岡Vol.53』 に
「IT系・企画系 生き残り起業家に学ぶサバイバル術」の題材で
福岡の創業経営者3名が集結し、その座談会の様子が特集されました。

その3名の中に弊社代表平井も参加させていただきました。


「IT系・企画系 生き残り起業家に学ぶサバイバル術」

2014年1月31日発行「フォーラム福岡」53号より

フォーラム福岡Vol.53


いま、国や地域を挙げて、スタートアップや起業家育成、創業支援などに取り組んでいる。
組織に頼られない自立した生き方としても注目を集める一方で、
脚光を浴びた幾多の起業家やベンチャー企業経営者は、
時代を駆け抜けて、消え去った。
福岡の地で起業したIT系、企画系の起業家のうち、
20年経た今なお事業を継続させている創業経営者が集まって、
自らの起業観やサバイバルに関する考え方などを語り合った。


 フォーラム福岡Vol.53
田村 馨 (司会進行)
福岡大学商学部教授・フォーラム福岡編集委員
1954年生、福岡市出身、北海道大学卒。
農林水産省政策研究所主任研究官、日本総合研究所コンサルタントを
経て、福岡大学へ。福岡大学次世代人材開発研究所所長も務める


フォーラム福岡Vol.53
覚田 義明
ペンシル社長
1964年生、1988年システムソフトグループに入社。
Adobe Photoshop、IllustratorのSGIプロダクトマネージャーを経て、1995
年に研究開発型インターネットコンサルティング会社としてペンシルを設立

研究開発型インターネットコンサルティング

「ペンシル」
覚 田義明氏が創業したペンシルは、《クライアントを成功に導く研究
開発型WEBコンサル会社》を掲げる。  
企業のサイトを分析し、独自のノウハウや技術による、売上増や成約
のアップに向けたコンサルティングを手掛け、売上が1年で10倍や100倍
などの実績 がある。競合調査をはじめ、マーケティング、サイト構築・
運営、システム開発、プロモーション、分析などトータルに立案・実施・
検証するサービスを提供している。


フォーラム福岡Vol.53
中村 修治
ペーパーカンパニー社長
キナックスホールディングス社長
1962年生、滋賀県出身、立命館大学卒。
大手プロダクションに勤務後、1994年に企画会社ペーパーカンパニーを
設立。
年間150本近い企画書を書いて『全身企画屋』に覚醒

異色の企画会社&福岡初の戦略的PR会社
「ペーパーカンパニーキナックスホールディングス」
「福 岡最古にして未だ最前線の戦略プランナー」といわれる中村修治氏
が率いる企画会社がペーパーカンパニーだ。
『JR博多シティ』の名付け親で、ロゴデザイン も手がけた。
関連会社として2006年に福岡初の戦略的PR会社・キナックスホール
ディングを立ち上げる。
両社の代表である中村氏は、多種多様な企業の顧 問や福岡大学
非常勤講師も務める一方、
フェイスブックで毎月1万以上の『いいね!』をコンスタントに獲得する。


フォーラム福岡Vol.53
平井良明
イーハイブ取締役
1970年生、北九州市出身、九州工業大学大学院在学中に起業。
1997年に前身のイーハイブ・コミュニケーションを設立。
現在、イーハイブの役員を務める

ブログに特化するネットIT企業
「イーハイブ」

1997年に西日本の理系大学発ベンチャー企業の第1号であるイーハイブ・
コミュニケーションを前身とするインターネットアプリケーションの作成
会社がイーハイブ だ。2000年に選挙情報専門サイトを立ち上げ、2004年
に政治家ブログ総合サイトを公開した。以後、ブログ関連分野に特化する。
顧客に合わせた企画やコンセプトに基づくポータルブログやビジネスブログを活用したホームページの企画・制作などを手がけている。




「ジョブスのお陰で独立できた」(中村)

田村) 最近、「福岡こそがイノベーションを起こせる場所だ」との意見を聞きます。
皆さんは福岡で起業して約20年、事業を持続されていますが、
「福岡はビジネスする上で良い街なのか?」
「イノベーションやクリエイティビティが生まれる素地が福岡にあるのか?」
も含めて語って頂きたいと思います。

中村) 私自身は不動産バブルの頃、その泡に乗って福岡へやって来ました。
当時、不動産の新聞広告を出したら午前中で完売する時代でした。
東京のプロダクションが福岡に進出する話があって、指名されて乗り込んで来ました。
最初、不動産広告の製作などを手掛け、その後、不動産バブルがダメになり、
30歳になったので独立しようと思って、94年夏に起業しました。

田村) その時、なぜ福岡に留まったのですか?

中村) 東京では、目立つ仕事ができません。
福岡だと、地場大手の仕事が間近にあって、頭一つ抜ける仕事が東京よりやり易いという
良さがありました。
当初、広告代理店から仕事をもらう、使い勝手の良いプランナーの立ち位置で動きました。
Macが普及し出した頃で、企画書などをお洒落に格好よく作ってあげる技術だけで食えました。
ですから、独立できたのはスティーブ・ジョブスのお陰です(笑)。

 
「サークルのノリで会社を設立」(平井)

田村) 平井さんは在学中の起業でしたが、他の選択肢もあったのではないですか?

平井) 薬学系を研究する大学院に行き、実は内定も貰っていました。
OHPでプレゼンしていた時代に先輩とMacを使って自分たちや先生の発表スライドを作ったら
好評でした。
それで先輩と12月頃に「会社でも作ってみるか」と、サークル的なノリで会社を作りました。
その会社が、理科系の大学発ベンチャーとしては、西日本で第一号だったそうです。
その後、就職先に勤め出して5~6カ月後、当時社長だった先輩が国のプロジェクトで
東京へ行くことになったので、私が退職して会社に戻って来ました。  

田村) 覚田さんはなぜ福岡で独立したのですか?

覚田) 実家は建築業で、跡継ぎでした。Macと出会った時に「これで世界が変わる」
と思って、アメリカへ行きました。確信して帰国後、日本で最先端のデジタルデザインを推進する
ソフトウェアの会社が福岡にあったので、そこに就職しました。就職先の会社では、
東京の仕事がほとんどだったが、福岡から全国へモノを売り、住むのは福岡という感じでした。
だから、福岡を拠点に全国を相手に仕事ができると思いました。


「不動産、通信、通販の3バブルを経験」(中村)

田村) 中村さんは起業後、順風満帆でしたか?

中村) 一応、これまで右肩上がりです。複数の広告代理店の下請けとして企画書を書いて、
プレゼンも代行していたので、不動産バブル後に起きた通信バブル、
そして通販バブルを経験しました。
特に通販会社の社長と直に打ち合わせると、今まで広告代理店サイドで書いていた企画書が
フィクションだと知りました。
広告代理店向け企画書はBtoBの仕事をとるための企画書でした。
通販会社と付き合うことでBtoCを語ることができ、今食えています。

田村) 福岡に限らず、プランナーとして独立してやっていくのは難しいのではないですか?

中村)昔は広告やプロモーションのアイデアを出していれば食える時代がありましたが、
今は一気通貫でビジネスモデルを出せるとか、事業計画を書けるプランナーでないと食えません。
インターネット検索で事例はいくらでも引っ張ることができ、少し加工すれば、
それらしい企画書ができます。
「どうやって儲けるか」
「お客さまからどうやって収益を取るか」
を語れて、プランニングできることが重要になっており、そういう人しか生き残れません。


「PCからインターネット、ブログへ特化」(平井)

田村) 平井さんの仕事の強みやの稼ぎは如何ですか?

平井) 最初はパソコン全般でしたが、その後インターネットに集中して、
データベース構築から検索などのシステムを手掛けています。
受託系の仕事は波があるので、システムを提供するクラウドが現在の主流です。
複数のブログシステムを作った実績をもとにブログの提供サービスを始めました。
単なる納品型でなくて、サーバー管理のASPで提供しています。
最近10年間は、ブログ関連に特化しており、最初は大手会社向けに始めました。
4年前から中小企業を応援したいと考え、中小企業向けも頑張っている最中です。

田村) 福岡で事業をする上でのメリット、デメリットは何ですか?

平井) メリットは人件費が安いことです。
たしかに東京は、人材が集まるのでしょうが、開発費から考えると、割に合いません。
一方、福岡よりも田舎に行くと、今度は逆に人材がいません。


「福岡の仕事は、東京の1/2500」(覚田)

田村) 東京などの同業者の福岡進出はありますか?

平井) ありませんね。向こうからすると、わざわざ福岡まで出て来ようとは思わないでしょう。

中村) 東京から来た広告プロダクションで今、生き残っているところはひとつもありません。
向こうの感覚だと、福岡の仕事はできないのでしょう。

平井) スピードも違いますね。
東京はプレゼン結果が1、2週間で出るのが当たり前です。
福岡だと半年、1年も掛かることがよくあります(笑)。
また、東京はクライアントが十分調べて、絞り込んで声を掛けてきますが、
福岡はプレゼンしてから調査を始めるので、どうしても受注時間が掛かるのが実情です。

覚田) ホームページの場合、福岡の単価や仕事量は、ともに東京の1/10です。
受注までの日数は東京で1週間、福岡が半年だと、1/10×1/10×1/25なので、
1/2500となって、東京から福岡には進出できません(笑)。

田村) ペンシルの福岡での仕事の割合は如何ですか?

覚田) 福岡での仕事が100%でしたが、いまは98%が東京の仕事です。
最初、インターネットを仕事にすることを決めましたが、製作したホームページを納品すると、
「本当に役立っているのか」
「効果的なページか」と不安でした。
「役立つのは、売り上げを上げるホームページだ」
と意識を切り替えて戦略的なサイトを製作するようになりました。
すると、半年で3個しか売れなかった明太子が1カ月で1万個売れました。
一つひとつの仕事が成功すると福岡中から仕事が集まりその後、
東京からも声が掛かって自然に仕事になって、そのうち東京からの発注が多くなりました。


「創業時のビジネスモデルを続ける」(覚田)

田村) 東京が主体で、社内体制は変わりましたか?

覚田) 福岡にいながら、東京の仕事をしなければなりません。
これは売上的にはメリットですが、スピードやレベルが違って、非常に難しい面もあります。
それなのになぜ20年もやってこられたか。それはビジネスモデルがぶれなかったからです。
福岡はファッションや音楽がぶれません。東京は流行りやブームに乗り遅れまいと必死ですが、
福岡は良いと思うものを地道にやっていき、何時か花を開かせます。
ペンシルは創業時から同じビジネスモデルを20年間やっており、そんなIT企業はありません。

中村) 世の中の原理原則として、ぶれずに実業をやっている人が生き残ります。
クライアントを成功させることを継続していくことが大事だと思います。
僕が生き残れたのも広告代理店相手でなく、クライントやその先のお客さまのために
「何ができるか」を企画書に込めてきたからでしょう。

覚田) もうひとつ生き残れた理由は、取引先の福岡の企業が全国向け通販など
ダイレクトマーケティングをやっていたことです。
福岡の企業を手伝うことで全国レベルのビジネスを勉強できました。


「恵まれた福岡で満足し、上昇志向に欠ける」(中村)

田村) 福岡は起業する上で、良い街でしょうか?

覚田)起業後の幸福度が高いです。
1万円あたりの物価も含めて東京よりも福岡の暮らしが幸せだと思います。

中村) 年収500~600万円でいちばん幸せに暮らせる街だと思います。
もっとも、満足してしまうことで、上昇志向が生まれませんが……。

田村) 福岡には、通販会社が多いことも、福岡における起業のしやすさに関係しますか?

中村) あると思います。
通販でいちばん重要なのはコールセンターです。
福岡は優秀な女性が集まる場所なので、コールセンターを立ち上げやすいと思います。
そして、通販のノウハウを独り占めしないで、みんなで通販をやっていく雰囲気があります。
もっとも、通販でも売上高が200~300億円になると、満足しがちで、
その上を望まない傾向があります。
福岡で100億円企業は出るでしょうが、1000億円企業や2000億円企業は生まれないでしょう。


「コールセンターもダウンサイジングへ」(平井)

田村) 福岡は起業するにはいい街という説もまんざら外れていないのでしょうか?

覚田) 住むには最高の街です。
でも仕事がない。
しかし今はインターネットがあって、どこでも仕事ができるようになってきている。
全国展開できるダイレクトマーケティングをやるか、そういう会社の仕事を受けると、十分食っていけますし、福岡では、その仕事をみんなで強くすることが
大切だと思います。すると、
プランナーやクリエイターにもお金が落ちます。
先日も東京の展示会で、
「福岡のダイレクトマーケティングはすごい」と色々な人から言われたので、
もっとそこを掲げてやればいいのではないか思います。

平井)コールセンターも最近は変わってきています。
今までの大規模なものでなく、小人数のものへとダウンサイジングしていく傾向がみられます。
相手がおじいちゃん、おばあちゃんなので方言がわかる人、
地域のことをよく知っている人が必要となり、
3、4人で各地域を担当するコールセンターが増えています。
コミュニケーションツールとして、電話を掛けてどれだけ話せるかが大切であり、
それがリピーターを育て、次の展開につながっていきます。
単に情報を見つけて、案内したところで、うまくいきません。
コミュニケーション部隊と考えた場合、小規模でしっかり対応する方が効果的です。


「東京はカッコ良さ、大阪は面白さ、福岡はおもてなし」(覚田)

中村) 冒頭のイノベーションが起きるかという話において、福岡のコミュニケーションの質は高いですね。

覚田) 東京はオシャレやカッコよさが大事で、大阪は面白くて笑わせたらいいというのがありますが、
福岡にはおもてなしの心があって、優しい人たちがやると、コールセンターでの売り上げも
自然と増えていきます。
教育や研修で対処できる部分もあるとは思いますが、
もともと持っている部分も大きいのでしょう。

中村) 福岡は働くところと住むところが近く、しかも帰る途中に飲み屋があるので、
職場を出てからのアウトサイドミーティングがしやすい雰囲気があります。
福岡には、密度が高いコミュニケーションができる機会があり、
それが積み重なっていくことの差は大きいでしょう。


「公私混同が多い福岡はネット時代に合う」(中村)

田村) 福岡はコミュニケーション面でも魅力ですか?

中村) 福岡は優秀な人とつながるスピードが速いですね。
広告業界でも引っ張っているのは一握りの人です。
そういう人たちと緩やかな連帯を組むことがすごくやりやすい街だと思います。
普通の情報はネットで仕入れること可能ですが、
生きた情報やネタは人から仕入れるのがベストです。
一握りの優秀な人とつながって、方法論を見つけ出す、
あるいはそういう人間とつながる自分の機能やサービス精神を持っていれば、
生き残れるではないでしょうか。

平井) 福岡のコミュニティは緩やかにアメーバー形式なので、ひとつがダメでも次があります。
いくつもコミュニティがあり、自分に合ったコミュニティを選べます。

中村) 私自身は、つながっているけど、属さないということは意識しています。
福岡は公私混同が多いので、ネットの時代には合う街と思います。

覚田) ITのおかげで日本中の一番良いものを選ぼうという風になっています。
東京の人が、東京の人や会社にしか発注しないことも無くなりました。
世界に向けて、自分のビジネスモデルを磨いていく上で福岡でやることは、
大きなチャンスだと思います。仕事が大変でも家庭が幸せであり、
仕事後の気の合う仲間も飲めることも大きいと思います。

田村) 本日は、どうもありがとうございました。




フォーラム福岡Vol.53 『フォーラム福岡』

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2014年01月31日『フォーラム福岡Vol.53』 


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